もう一つの大航海時代!面白いJ.スウィフト作「ガリヴァー旅行記」

こんにちは。そろそろ春めいてきましたね。暖かくなってくるとどこかまだ見ぬ遠いところへ行ってみたいと子供の頃の好奇心に満ちた心が蘇ってきます。さて好奇心といえば冒険小説、冒険小説といえば小人の国へ漂流するガリバー旅行記は誰でも一度は耳にし、その面白さに引き込まれながらも人間についても考えさせらたことがあるのではないでしょうか。さて、このガリバー旅行記の作者であるジョナサンスウィフトは1667年のアイルランドの生まれです。聖職者としての活動はもとより、 政党の機関紙を発行したり、時事問題を論ずる小冊子を数多く発表しながら文学者仲間と交際しながら当時のヨーロッパでの歴史的背景なども含んでガリヴァー旅行記を書きました。このガリヴァー旅行記は小人の国に漂流したガリバーの話だけではなく、大人国へ流れ着いたり、空飛ぶ島ラピュタに流れ着いたり、不死人のいる島に流れ着いたりと、冒険が詰まった名作となっています。 今回はこの作品を構成する全4編を一遍毎に要約してご紹介できたらと思います。興味を持って読んでいただければ幸いと思います。
それではくれぐれもネタバレを含みますのでご注意ください。

第1編リリパット(小人国)への航海

ガリヴァー旅行記は主人公ガリヴァーのノンフィクション体験記として語られます。ガリヴァーはその中で「著者」として登場します。冒険に取り憑かれ、海に魅せられているガリバーは、祖国イギリスに家族をおいて海へ冒険に出かけることを生きがいとしています。
有名な第一遍の舞台は小人の国です。
ガリヴァーが流れ着いた小人の島にはブレフスキュとリリパット(ガリヴァーが漂流したのはこちら)という二つの帝国があります。そしてこの二つの国は36ヶ月間もの間卵を割る順番というどうでもいい理由で戦争をしており、ガリヴァーも巻き込まれる羽目になります。

ガリバー旅行記

ぺージ66リリパット側の見解

誰もが認めている通り、卵を食べるのに大きい方の端をまず割るのが大昔から決まったやり方です。 ところが今の皇帝の祖父に当たられる方がまだ子供の頃卵を食べようとされて昔からのしきたり通りに割られた所何かの弾みで指を切ってしまわれました。そこですぐに勅令を出され今後卵を割る場合は小さい方の端を割ることとしこれに背く者は厳しく罰すると全国民に指示されました。国民はこの命令に対しそう腹を立て歴史に記されたところではそのために6回の反乱が起こりました。~ところでこのように度重なる内乱は決まってブレフスキュの代々の国王がそそのかしたために起こったものです

 

ページ68 ブレフスキュ側の見解

ブレフスキュの皇帝たちは、端子を通じて我が国のやり方を何度も避難してきました。 つまり、私たちのしていることはブランドでかる。

の第54章に記されている偉大な預言者ラストログの最も重要な教えに背くものでありそのために手話の分裂を招くことになったというのです

すべて真の信仰を持つ者は、誰にでも都合よく箸より卵を割るべし。

出会ってどちらの端の方が都合がいいかは、 私の考えでは一人一人の両親によって決められる。

 

そんな戦争のさなかにある小人の国でガリヴァーは巨人としてヒーロー的な活躍を次々とやってのけますが、たった一度だけそんな理由で戦争をするのはおかしいと小人へ抗議を行います。それらの人間関係の摩擦が決め手となってガリヴァーは小人の島から逃亡します。
第一遍では小人たちを俯瞰した立場からその愚かさを批判する立場で冒険記は綴られます。

第2編 ブロブディンナグ(大人国)への航海

小人の国を逃れたガリヴァーですが第2編では一転し巨人の国が舞台です。第一編では巨人として小人たちを冷静にまたどちらかと言うと冷めた目で見ていたガリバーですが、 巨人の国に入るとむしろ自分の体が小さいというだけで惨めな思いをし見世物にされ、様々な危険にさらされることになります。

ぺージ184 陛下の小人への偏見

人間の偉大さなどと言ったところでここにいるこんなちっぽけな虫けらにでも真似ができるとすれば全くつまらないものだ それにこんな連中にも肩書きだの称号だのがあるようだしちっぽけな巣穴をせっせと作っては家だの都市だのと呼んでいるようだし洒落た着物や装飾品を作ることもあるらしい。愛したり戦ったり議論したり、人を欺いたり裏切ったりもしていると言うではないか。 陛下がこんな調子で私の愛する祖国をこのようにこっぴどくやっつけられるのを聞いているうちに、私は腹が立って何度も顔が赤くなったり青くなったりした。

第一編では体が大きいというだけで小人たちを俯瞰していたガリヴァーでしたがいざ自分が小人になると陛下に自分たちを俯瞰され第一遍でリリパットに抗議したのと同じような抗議を受け、さらに小人であるゆえに自信すらも喪失します。巨人たちの国で小人の国ではあれほど勇敢だったガリヴァーは道化役に廻り言いたいことも言えず巨人たちの文化を優れていると崇拝するような日々を送ります。
しかし、そんなガリヴァーでしたが、文学や歴史の研究を重ねるうちに自分自身に内在した小人への偏見や巨人への偏見に気づき見解を改めます

ページ255

一体他のどんな国からも近づけないこの国の国王がどうして軍隊を作ったり国民を訓練しようと思いつかれたのか私はその理由が知りたかった。だがこの国の人々と話したり歴史を読んでいるとまもなくその理由がはっきり分かった。要するにこの国も長い年月が経つうちに人類全体が犯されているのと同じ病に苦しめられるようになってきたからだ。ということは貴族は権力を求め住民は自由を求め国王は完全な支配権を求めて互いに争ってきたという意味だ。この争いは法律の力でどうにか抑えられてきたものの時にはこの三つの勢力のうちのどれか一つが法律を破りその結果内乱が起こることも一度や二度ではなかった。ついこの間起こった内乱は幸いにも現在の国宝の祖父にあたる国王が仲裁の役割にあたられたため無事に収まったがその後国民全体の同意に基づいて市民兵の制度が採用された。この制度は国民の厳格な義務として現在に至るまで守られている

第3編 ラピュタ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブ、および日本への航海

巨人の国を逃れたガリバーはあれほどの危険な目に遭ったにも関わらずまた航海に出ます。
そんな第3編では空を飛ぶ島ラピュータをはじめとする島嶼群が舞台です。
ラピュータは優れた科学力を持っており、発明といったイノベーションを起こしより豊かにより便利になることを目指す資本主義のど真ん中を行くシリコンバレーのような国です。

圧倒的な科学力=ラピュータ島によって人間を統治しているが、それは核爆弾のような諸刃の刃のために国民と均衡を保っていることを示す個所

ぺージ322

謀反を企てたり争いを引き起こしたり、定められた税を納めることを拒んだりした場合、国王はその騒ぎを取り鎮めるために二つの方法を用いるそのうちで、穏やかな方のやり方というのは、問題の都市とその周辺の土地の真上に島を静止させ、人の住民から太陽と雨の恵みを奪うことによって上と病気の苦しみを与える。 罪が重い場合には、大きな石が上から投げ落とす。

最初の手段に訴えるつまり島そのものを彼らの真上からまっすぐに降下させて家も人間もいい距離滅亡させてしまうというやり方を用いるもっともこれは最後のぎりぎりになって用いられる方法で国語がそうまでしなければならない程の窮地に追い込まれることは滅多にないし国王としても実際にそんなことをやろうとする気持ちになられることもない

ラピュータの統治するラガードに大学を建てることとなったいきさつ

ページ333

約40年ほど前に下界の連中が何人か用事のためか見物のためかわからないがいずれにしても laputa まで上がって行ったことがある彼らは5ヶ月ほど滞在してから帰ってきたが数学の知識はほんの少ししか身につかなかったのに天上の世界にいる間にうつった気まぐれな性質だけは有り余るほど身につけてきた。この連中は帰ってきた途端に下の世界のやり方は何もかも気に入らないとケチをつけ始め芸術、学文、言語、技術などを全て改革しようという計画に取り掛かった

そのために彼らはまずラガードに企画士養成のための大学を作る許可を国王から得た。

こういう大学では教授たちが農業や建築の新しい原理や方法を作り出したりあらゆる商工業に必要な新しい機械や道具を公演することに熱中している 彼らの自信満々たる意見によればこの警告が成功した暁には10人ぶんの仕事が一人でできることになるし宮殿にしても一週間で完成ししかも修理など永久にしなくても済む十分な材料が使えることになり、地上のどんな果物も望み通りの季節に実らせることができるし おまけに今の100倍もの果実が収穫できるようになるとのことだった。

困ったことはこれらの計画の家で実際に成功した者はまだ一つもないということだった

それでもがっかりするどころか希望と絶望を繰り返しながらもこれまでより50倍もの猛烈な意気込みで何が何でも計画を達成しようと夢中になっている

生き方の衝突

閣下ご自身は目新しいものにむやみに飛びつくような気持ちは少しも持ち合わせていない相変わらず昔ながらのしきたりに満足しており先祖代々の屋敷に進み何もかも先祖と同じような暮らし方をしてそれをやたらに変えるつもりはない 彼の他にも貴族や家柄の良い人たちの中にごく僅かではあるが同じような生き方をしている人がいる。しかしそういう人達は学問の敵であるとともに国家の発達よりも自分の勝手気ままな暮らしの方を大事にする家で、有害な非国民として軽蔑され憎まれている。

ラピュタの科学力によって歴史上の偉人への誤った見解を示す箇所

PG 381

私は近代史というものが大嫌いだったというのは、過去100年間を通じて様々な国の君主たちの宮廷で名声を勝ち得たすべての偉い人々のことを詳しく調べてみた結果。 世間の人たちがおべっか使いの御用学者によってどんなに騙されていたかということがよくわかった体校入学者でもの手にかかると臆病者が戦で輝かしい手柄を立てたことになり若者がこの上もなく懸命な忠告をしたことになりおべっか使いが誠実そのものということになり祖国を裏切った者が古代ローマ人のような愛国者に祭り上げられ無神論者が信仰心の厚い人だったことになり密告者が裏表のない正直者にされてしまう どんなに多くの潔白で人並み優れた美徳の持ち主達が堕落した裁判官や醜いと争いを巧みに利用する大臣たちによって死刑を宣告されあるいは国外に追放されたりしたことだろうか どんなに多数の悪党どもが国家の最高の地位にのし上がり無条件の信任を受けて権力を一緒に収め威勢を貼り甘い汁を吸ったことかまた世界を揺るがす大企業とか大革命の発端や同期が何でありそれが成功したのはどんなにくだらない偶然のせいであったかその真相を知った時には人間の知恵とか誠実などというものがどんなにつまらないものかとつくづく思った

逸話集や疑問詞などの著者がどんなにでたらめで無知な図々しい連中かということも私にはよくわかった。

私はさらに全世界をアッと驚かせた数多くの大事件の本当の原因を知ることができた。 例えば一人の娼婦が何人かの影の人物を操りその連中が枢密院議員を操りその枢密院議員が元老院議員を操ることによって事件を引き起こすことがある。またある将軍などは私に向かって自分が勝利を得たのは他でもない臆病と作戦の失敗のおかげだとぬけぬけと白状した。~

王位というものは、腐敗を抜きにしては保ってはいけないものであり、道徳の権化のような人間の一歩も後へ引かぬ自信に満ちた頑固一点張りの態度などは政治の邪魔になるばかりだと主張していた

以上のことから、ラピュタ島で暮らす人々はその科学力の恩恵として豊かで贅沢な生活を送っています。その素晴らしい科学力によってガリヴァーは歴史上の偉人への誤った見識さえ正すことができました。
この優れた研究室のような国はその分創造的でない人保守的な人間には非情です。
科学力の進展のために必要な数学と天文学(宇宙)以外の学問は軽視されているために人間らしさに欠けています。
従がって非人間的な奇人変人の
科学者ばかりが支配するラピュタ島では国家の発達のための科学技術の発展に貢献しないものは蔑みの対象です。

ラグナグの不死人

ガリヴァーの不死人への楽観的な見解。

ページ 403

生きるということと死なねばならぬということの大きな違いがわかって、自分の幸せを痛感するとしましょう。 私は何よりも先にあらゆる手段を尽くして金持ちになろうと決心することになると思います。~

私は世の中に起こる重要な出来事や事件について一つ残らず事細かに記録し、代々の国王や大臣たちの人柄についても公平に書き留めます。~

時が経つにつれてこの世界が次第に腐敗していく有様に十分注意しながら絶えず人間に警告を発したり教訓を与えたりしてできるだけそれは稼ぎたいと思います人間精神の堕落をおそらく食い止めることができるでしょう。~

軽度の測定法、永久運動、万能薬などの発明発見やその他数多くの発明が完成する日をこの目で見ることもできるでしょう。~

私は人間が生まれつき持っている永遠の命と現世の幸福を願う気持ちに促されてまだこの他にいくらでも出てくる話題を捕らえては次々と述べたてた。

実際の不死人についての箇所。

ぺージ410

その年になると同年輩の普通の人のように忘年につきものの愚かさや弱々しさを見せるようになるだけでなく決して死なないという恐ろしい事由が分かっているだけにもっと多くの弱点をさらけ出すようになる。つまりこの人たちはわがままでおこりっぽくて欲張りで気難しくて自惚れが強くておしゃべりになるだけでなく友達付き合いもうまくいかなくなり人情もなくなり人を愛するにしてもせいぜい孫と同じ年頃の人ぐらいまでで、嫉妬心と満たされることのない欲望ばかりがむやみと燃え盛る。しかも嫉妬の主な元となるのは元気に任せて遊びに耽る若者たちであり神でよく老人達である

この人達は青年時代か中年の頃に習った見覚えしたりしたことを除けば他に何一つ覚えていないしその記憶も大層あやふやなもの。

彼らの生まれた記録は一千年以上遡るともはや保存されておらずその上時代によっては内覧があったりしたために失われてしまったものもある

だが彼らの年齢を数えるための一番普通のやり方は彼らが覚えている国王や偉人の名前を尋ねてそれからこの国の歴史にあたってみることであるというのは彼らが覚えている国王の家で最も新しい王の治世が始まった時期は間違いなく彼らが80歳になる前のことだからである。

以上のことから例えプラス不老が加わって不老不死であったと仮定しても80歳頃で機械などをつかって一度自分自身をリセットし別人となることが望まれます。200年以上も生きると結局は過去の歴史も人の記憶も曖昧なものとなるので過去のことを確実に書留め記憶し人間を腐敗から救うなどというのは不可能だということでしょう。

そしてガリヴァーはストラドブルグと貿易の盛んな日本を介して祖国に戻ります。

第4編フウイヌム(馬の国)への航海

さて、ガリヴァーの大冒険もいよいよ最終章です。
第4編では人間ではなく馬が統治する国へと流れ着きます。この章では人間はフウイヌムの国では蔑まれる対象である野蛮な「ヤフー」として登場します。
人間の特性から生ずる社会制度とその軋轢などにも触れており、ガリバーはフウイヌムたちに至極当然だと考えていた自分たちの存在や社会的な意義をことごとくひっくり返されます。

ページ472

主人にしてみれば一体どういう利益があってそういう不道徳な悪事を働くのか全く想像がつかなかったのだ私はその点をはっきりさせようと思って権力欲とか金銭欲とはどういうものか情欲不摂生憎しみシートなどがどんなに恐ろしい結果を生むかということについて散々苦労して説明した なんとか上手く説明しようとして、色々な例をあげたり、家庭を設けたりして脳みそを絞らなければならなかった。 これほど苦労をしたのに、一通り話を終えると、主人は今まで夢にも思ったこともないものを見たり聞いたりしたとでも言うように目を吊り上げて驚きもするし、腹も立つといった表情を浮かべた。 何しろこの国の言葉には権力政府戦争法律刑罰その他これに類する事柄を言い表す言葉が一つもなかったからだ

人が野蛮な存在であることをガリヴァー自身が悲しみながらも肯定する個所

ページ515

それとは別にもしも普段見かけたこともないですがやってきたりすると同じメスのヤフーが3、4匹でその周りを取り囲みじろじろ眺めたりしゃべったりニタニタ笑ったり相手の体を隅から隅まで嗅ぎまわったりした挙句さも軽蔑したようなからかうような身振りをして見せながらさっさと立ち去ってしまうということだった

それでも私は女性の中に淫らな気持ちや他人の粗探しをしたがる性質が本能的に潜んでいることを思い知らされて、驚きも悲しみも感じずにはいられなかった。

私は主人が我々人間に男女を問わずよく見受けられるような不自然な欲望がヤフーにも見られると言って今にも避難するのではないかとハラハラしていた。

フウイヌムの国から追い出される形で祖国へと帰ってきたガリヴァーはフウイヌムの国での穏やかで清潔な暮らしが忘れられずに一生を過ごしました。